老伴(おいのとも)は、非常に歴史のある菓子で、天正3年(1575年)に作られたという事ですから、ゆうに400年以上の歴史を持つ菓子。
命名は、白楽天の詩集から、あの三井家(今の三井グループの元となった今の三重県松阪の豪商)の三井高敏氏が命名したとのことです。
想像の範囲を大きく超える歴史を持つ「老伴」は、一見すると最中なのですが、裏返すと中身が餡では無く羊羹、しかも剥き出しという一風変わった菓子です。
食べてみると、最中皮のパリパリ感はもちろんのことですが、中身の羊羹地には表面のコーティングでこちらもパリパリ。
その中から上品な羊羹の甘い美味しさが広がってきます。
羊羹というか最中というか、他所には無いここだけの不思議食感の和菓子なのです。
柳屋奉善の本店があるのは、松阪牛で有名な三重県松阪市。
JRと近鉄松阪駅から徒歩約7〜8分の中心街、
その松阪牛の名店"和田金”のすぐ横が本店です。
400年以上の歴史を持つ「老伴」の元祖は、初代当主が硯石の鉄型を取って作った最中皮の片面に羊羹を流し込んで作った「古瓦」と呼ばれる菓子。
この当時は、滋賀県蒲生郡日野町あたりのあったとのことで、その日野の城主はお茶に造詣の深い蒲生氏郷公だったことから、お茶菓子の創作に取り組んでいたとのこと。
その後、蒲生氏郷公が豊臣秀吉公の命で伊勢国・松ヶ島城に移り、新しく城下町を作り、その地を「松坂」(現在は「松阪市」)と名付けられたこの町に柳屋奉善も移ってこられた様です。
歴史の教科書に出てくる様な時代の出来事がつながってくるほどのスゴい歴史を持っている菓匠なんですね。
その400年以上前に創られた原型を今でも踏襲して、且つ多くのファンを持つ菓子として作られ続けるなんてロマンを感じますよね。
「老伴」の中身の羊羹は、小豆餡ではなく白手亡餡に糸寒天、砂糖を炊き込んで、ベニコウジを着色料として加えます。
その羊羹を最中皮に流し込んで少し固まった頃に、砂糖蜜を表面に塗って保存室で一晩乾燥させるというのが「老伴」の工程。
一晩乾燥させることによって、砂糖蜜が内部の熱で内側から固まり、表面にパリっとした糖蜜コーティングが出来るとのこと。
長い歴史があり、他所にない非常に個性的な「老伴」。
日常菓子にするにはちょっと贅沢かもしれませんが、日常菓子としてもご来客時のもてなし菓子としても、話題とともにお茶請けにふさわしい和菓子だと思います。
老伴(おいのとも)
原材料名 手亡あん・上白糖・グラニュー糖・最中・水飴・寒天・着色料(ベニコウジ)
4個入り 700円
製造者 株式会社柳屋奉善
三重県松阪市中町1877
フリーダイヤル 0120-510138
2018年02月28日、松阪駅キオスクにて購入
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